新型コロナウイルス(COVID-19)は、僕たちのライフスタイルに大きな変化を及ぼすかもしれません。
日本でも緊急事態宣言が発令され、慣れない中なんとか自宅から仕事をしている、という方も多いでしょう。
戦略コンサルティングファームのマッキンゼー・アンド・カンパニーは、コロナウイルスの影響やコロナウイルスが与える世界への影響に関して、いくつかのレポートを発表しています。
本記事では、マッキンゼーのレポートを元に、消費者・組織において予想される変化について、解説していきます。
目次
マッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートについて
まず、今回題材とするマッキンゼー・アンド・カンパニーのレポートについて、簡単にご紹介します。
ちなみに、マッキンゼー・アンド・カンパニー(McKinsey & Company)は、ご存知の方も多いかもしれませんが、世界を代表する戦略コンサルティングファームです。
日本でも「元マッキンゼー」で活躍されている方は多くいらっしゃいます。DeNA創業者の南場さんや、ビジネス・ブレークスルー大学の大前研一さんなどです。
そんなマッキンゼーが以下のようなレポートを公開しています。
COVID-19: Briefing materials, Global health and crisis response
ざっくり、以下のような内容です。
- COVID-19の現状
- COVID-19の今後のシナリオ
- COVID-19のセクター別の影響
- COVID-19に対するアクション
興味のある方は、ぜひレポート全文を読んでみてください。英語かつ66ページほどとボリュームもありますが、グラフ中心で比較的読みやすいかと思います。
以下では、このレポートの中から、新型コロナウイルスにより消費者と組織に起こる変化の見通しについての箇所を抜粋して、ご紹介していきます。
コロナウイルスによる消費者行動の10個の変化
まずは、コロナウイルスによる消費者行動の変化についてのスライドを見ていきましょう。
10個の項目を意訳すると以下のようになります。
- ロイヤリティの変化:在庫量、健康的な要素、ブランドトライアルにより選ぶ商品が変わる
- 価格と価値の関係のリセット:経済の低迷により低価格帯商品やプライベートブランドへのニーズが高まる
- 快適さと便利さを求めた家の見直し:家がカフェ、スパ、レストランの役割を果たすようになる。消費者はより便利で安価な方法に気づく。
- デモグラによる「標準」の混合:ミレニアル世代は家に落ち着き料理に勤しむようになり、男性は家にいながら買い物をするようになる。このような性別年代における行動特性の変化により、ブランド・カテゴリー・買い手の行動特性が変わる
- 大型ブランドの再来:認知力と大規模なサプライチェーンに裏付けされた在庫量により、大型ブランドが再起する
- ベビーブーム世代のデジタル移行(e-Boomer):ショッピングにおいて、買い溜めはオンライン中心に移行、食料品店やコンビニは補給程度に。
- 低価格帯商品の時代:ディスカウントストアやスーパーは、低価格と安定的な供給により便益を得る。
- 店舗への再誘導:食料品店以外のリアル店舗は、外出自粛が解除された際に、再度消費者とのエンゲージメントを作るための新たな方法が必要。
- 非都市化:外出自粛による在宅勤務の体験等によって、直近の都市集中のトレンドから回帰する
- サステイナビリティの再浮上・再定義:環境と公衆衛生のゴールを同時に達成する必要がでてくる。
いずれも何となくイメージできる内容かなと思います。
投資視点でいうと、米国株では、WalmartやTarget等の低価格帯向けの大型グローサリーストア系はまさにこのトレンドに乗っていますね。両社のオンラインECの領域もさらに伸びてきそうです。
また、不動産の領域では、じわじわと都市一極集中から脱却が起きてくるかもしれません。都心部のタワマン等はなかなか怪しいんじゃないかと思っていたりします。
このように、消費者の行動特性が変わると、それに付随して企業の業績にも変化が生じるはずです。色々と思考してみると面白いでしょう。
コロナウイルスによる組織・会社の4つの変化
続いて、「Organizations(組織)」における変化についてのスライドを見ていきましょう。
4つの観点において、「Minimal Change(最小の変化)」〜「Drastic Change(劇的な変化)」の3つの段階で変化が予想されています。
以下では、「Drastic Change(劇的な変化)」について、各4つの観点でどのような予想がされているのか見てみましょう。
- 働く場所:リモートワークは完全に受け入れられる。最大で25%のホワイトカラー労働力は完全リモートになる。
- 組織の作られ方:これまでよりもリーンでアジャイルな組織構造により、プロジェクトベースで仕事をするためのギグ・エコノミーが活用される
- 意思決定の方法:戦略は中央的に決定されるが、オペレーショナルな意思決定は、スピードと試行錯誤の考えの元で非中央集権的となる
- 労働力のサイズと組成:ギグ・エコノミーが全ての労働者に適用される(フルタイムの雇用者は労働量の20%未満になる)
僕たちの働き方にも大きな影響が出てくる可能性があることが分かりますね。
ちなみに、2回ほど出てきている「ギグ・エコノミー」とは以下の意味です。
このような働き方になると想定した場合に、あなたはどのようなキャリア戦略を描きますか?
プロジェクトベースで働くことになると、それだけ分かりやすいスキルセットが必要になったり、初めての人とも短期間でパフォーマンスを残すためのコミュニケーション能力が必要になったりします。
いずれにせよ、今の会社に依存しないキャリア設計が必要になることは間違いないと思います。
キャリア戦略の中で、「副業」というのは、より一般的になる気もしてきます。
このような大きな変化を想定して、自分のキャリア戦略を改めて見直してみることをおすすめします。僕もGWに改めて考えてみます。
まとめ
本記事では、マッキンゼーのレポートを元に、コロナによる消費者行動と組織の変化について、まとめてきました。
新型コロナウイルスは、僕らの生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。
今回のレポートで描かれているような未来像を元に、今後の自分のキャリア戦略を考え直してみるとよいでしょう。
これからの世界を考える上で、参考になれば幸いです1